Dia Center for the arts
住所: 548 W 22nd, btw 10th & 11th, 10011
電話: 212-989-5566
URL: www.diacenter.org
水曜-日曜 12時-6時
一般 6ドル、学生 3ドル
ブルース・ナウマン:マッピング・ザ・スタジオ I
(ファット・チャンス ジョン・ケージ)
ディア センター フォア ザ アーツ
1/10~7/27、2002
(ディア センターはこの後、9月まで夏期休暇に入る)
Installation shots:
Bruce Nauman, "Mapping the Studio I (Fat Chance John Cage)," 2001
Photo: Stuart Tyson
Courtesy: Dia Art Foundation
ブルース・ナウマンは、ビデオアートのパイオニアの一人。ディアセンターは、彼の作品を展示する主要 ギャラリーの一つだ。今回ナウマンは、このディアセンターで、5時間45分にわたる モノクロビデオインスタレーション、"Mapping the Studio I "を公開した。ちなみに5時間45分 というのは、ディアセンターのオープン時間と同じ長さである
作品のきっかけは、2000年のある夏の晩、ニューメキシコにあるナウマンのスタジオにねずみが出没したことによる。ナウマンは、夜毎のねずみの徘徊に、ねずみ取りならぬ、7つのビデオカメラを設置した。夜な夜なのねずみたちの活動をはじめ、真夜中のスタジオをとり続けること三か月余り、編集作業はその翌年にかけて行なわれた。
"Mapping the Studio I "の会場であるディアセンターには、7つのビデオプロジェクターが設置 された。プロジェクターと観賞用の椅子以外何も無く、モノクロのスタジオ風景だけがギャラリーの壁に写 し出される。会場は薄暗く、居合わす人々をシルエットでしか認識できない。会場をうめるのは、プロジェクターの音だけ。時折のサウンドトラックは、さわさわという梢の音や、遠くを走る電車の音、そして犬や猫の声。えんえん続く静止した様な映像に、時間の感覚までゆるやかになる。出来事といえば、ねずみが素早く走り去ること、あるいは猫の登場くらい。そのうち、映像に見入る他の人々が、映像の一部の様に感じられる。
Video still:
Bruce Nauman, "Mapping the Studio I (Fat Chance John Cage)," 2001
Courtesy: Sperone Westwater, New York City
スタジオという主題は、60年代のナウマン初期の作品を思い起こさせる。ナウマンは、スタジオにおけるアーティストの日々の制作活動とアーティストの役割というテーマにこだわった。例えば画家がスタジオで制作を続ける様に、当時サンフランシスコにあったスタジオで、ナウマンはパフォーマンスという新しい形体のアートをビデオに撮り続けた。
Video still:
Bruce Nauman, "Mapping the Studio I (Fat Chance John Cage)," 2001
Courtesy: Sperone Westwater, New York City
第2部作”Mapping the Studio II ”が、ディアセンターと時期を同じくして スペローネ・ウエストウオーターギャラリー( Sperone Westwater: 415 West 13 Street)で 公開された。同じ映像を扱いながら、ほとんど手を加えない I と対象的に、 II は様々な操作を加 えてある。例えば、ヴォリュームアップされた音、定期的に天地が反転するいくつかの映像、そして赤、緑、 青、黒の順に変化する映像の背景色。瞑想的な”Mapping the Studio I ”を見たあとで、同じ 雰囲気を期待して”Mapping the Studio II ”の会場に足を運ぶとその騒々しさに驚かされる。全 く異なる二つのアプローチにいっぱい食わされたような気になるが、これがナウマンの本領 といえるのではないか。”Mapping the Studio I , II "は、ナウマンの最も重要な作品という声 もきかれる。
(Yoko Yamazaki)