フ
On the Roof
5/1−10/28、2007
Painting into Architecture
5/1−7/29、2007
The Metropolitan Museum of Art
Frank Stella, adjoeman, 2004
Photo© Y. Yamazaki
風薫る5月、メトロポリタン美術館では二つのステラ展が開催中。
一つは、美術館屋上の屋外ギャラリーでの巨大な3つの最近作の展示。
Frank Stella, memantra, 2005
Photo© Y. Yamazaki
Frank Stella on the Roof
Photo© Y. Yamazaki
adjoeman(2004, 5.4 x 5.2 x 1.6 m)は、帆船のような形をした作品で、風を受けると円形のステンレススチールレールの上をゆっくりと動く仕組みになっている。帆のような黒いカーボンファイバーは、ステラ初期のブラック・ペインティングを思わせる。カーボンファイバーは、“彫刻的書(sculptural calligraphy)“を暗示するという memantra(2005, 4.3 x 6.3 x 4.7 m)にも現れる。45年のキャリアを持つステラは、未来と過去、あるいは自由な即興と常套の微妙なバランスを保ちながら新しい方向性を探っているようだ。
取材を受けるステラ
Photo© Y. Yamazaki
Photo© Y. Yamazaki
屋上での最新作は、まだ進行中であると言うカーボン樹脂による横幅9メートルにもおよぶ建築的な作品Chinese
Pavilion(2007)。これは、ステラの屋内展示に関連している。メトロポリタン美術館でのもう一つのステラ展:“絵画から建築へ”は、1960年代のシェイプド・キャンバス作品からはじまり、建築的な最近作までを網羅する展覧会。実現には至らなかった90年代初頭のドイツやオランダでの公園や美術館プロジェクト等の模型も展示している。やや小さな展示室に作品が空間を取り合う様に所狭しと並んでいるのが興味深い。ステラは、“絵画の表面から空間への移行が新しい建築を創作する、”というシュープレマティスムのマレービッチの言葉を引用する。絵画から彫刻・建築へ展開するステラの仕事があたかも歴史的信憑性に則ったものであると主張するかのように。
一方、モマではリチャード・セラ展が予定されている。絵画から出発したステラと、彫刻にこだわるセラとを比較してみるのもおもしろい。(Yoko Yamazaki)
Photo© Y. Yamazaki