奈良美智
YOUR DOG
Thompson Square Park7th Street to 10th Street between Avenue A and B Sponsored by Häagen-Dazs
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Photo ©M.Hideshima |
©M.Hideshima
アルファベット・シティ、トンプソン・スクウェア・パークに登場したのは奈良美智の犬だ。ドッグ・ランド(犬を放して遊ばせる広場)のすぐ横に設置された。ナラのトレードマーク的な白いとろんとした目の犬はプラスチック性で、大型犬の4、5倍の大きさ。閉じた目から涙か、水が始終涌き出る仕組みになっている。犬はYour Dog「あなたの犬」と名付けられ、木製のプラットホーム上のプールに仁王立ち。「犬はあなたで、犬はわたし。」という奈良のメッセージも寄せられている。
©M.Hideshima
この作品があるトンプソン・スクウェア・パークはつい何年か前までアルファベット・シティの中でも柄が悪いことで有名だった。今でこそ緑溢れる公園になったが、アルファベット・シティの移り変わりを反映するように親子、若者、白人、アフリカ系、アジア系、プエルトリコ系、読書する人、演奏する人、スポーツする人、一日中酔っ払っている人、ホームレスなど様々な人が集う。
©M.Hideshima
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Your Dogは子供たちに大人気だ。子供を連れている大人も楽しんでいる。誰がいつ始めたのか、犬の立つプールにはペニー(1セントコイン)が投げ入れられている。地元の人々の間では、「ちょっと場所に不似合い。」「ちょっとかわいすぎるんじゃないか。ディズニーのキャラクターだ。」と疑問を投げかける声もある。一方、「通り過ぎる度になんとなく笑ってしまう。」「とぼけた顔がかわいい。」という肯定的な意見もあって、受け取られ方は半分半分といったところだろうか。
また、現在 「奈良美智展 弘前」 がファンやボランティア達の協力により開催されている。
M. Hideshima
奈良美智展弘前 I DON'T MIND, IF YOU FORGET ME.
2002年8月4日[日]-9月29日[日]
吉井酒造煉瓦倉庫、弘前
開館時間=10:00-19:00(入場は18:30まで)/金曜は20:00まで(入場は19:30まで)
休館日=月曜日〈8月5日・9月16日・23日の月曜は開館。 9月17日・24日振り替え休館)
観覧料=一般1,000円/大学生・高校生700円/中学生・小学生300円
〈小・中学校行事団体観覧は無料・要事前申込)
吉井酒造煉瓦倉庫 〒036-8188青森県弘前市吉野町2・1「奈良美智展弘前」実行委員会
TEL.0172-3ト0195 FAX.0172-31-0196
講演会「奈良美智と現代美術」(無料)
講師:岩井康確(美術家)
日時:2002年9月6日[金]午後6暗から
場所:吉井酒造煉瓦倉庫カフェ
絵画 『Princess of Snooze』
2001年
アクリル、綿布
h.228 * w.181.8cm
(C)YOSHITOMO NARA
奈良美智の日本で最初の本格的な個展が、奈良の子ども時代の記憶を今に残す街、弘前で開催されます。
奈良美智は、1959年青森県弘前市に生まれました。 奈良の描く独特のにらみ目や眠り目をした、かわいくてちょっとコワイ子どもは、日本、アメリカ、ヨーロッパ、国境や文化やジャンルの境界をこえて飛びまわり、多くの人々の心をつなぎとめ、不思議な元気を与えています。
「ぼくはいつも、記憶にある小さいころの世界と現在の自分との間を自由に行ったり来たりして、その中からインスピレーションを受けてきた。
自分の中に、子 どものころの記憶の街の地図があって、さっき通ってきた橋があそこにあると思えるのと同じように、20年前の自分や30年前の記憶が、まるで目の前にあるように リアルに感じられるんだ。 」 (奈良美智:ロング・インタビューより〈美術手帖 2000年7月号〉 )
北の城下町、弘前の街のまん中には、まるでそこだけ時が止まっているかのように、 日本で初めてシードル(林檎酒)を造ったといわれる「吉井酒造煉瓦倉庫」が残っ ています。 子どものころ、奈良は、この古くて大きな煉瓦倉庫のそばを通り、謎めい たこの場所にずっと想いをとどめてきたといいます。 数年前、奈良は久しぶりにドイ ツから帰国した折り、初めて煉瓦倉庫の中に入り、空間の美しさに魅了されました。
この展覧会は、まさに奈良美智の子ども時代の記憶の源泉ともいえるようなイン スピレーションに包まれた場所で開催されます。 奈良のこれまでの集大成というべ き横浜美術館を皮切りとした展覧会のためのタブロー、立体を含む新作約40点と ドローインク93点に加え、新たに、この空間に作家自身が作品をあつらえて展示 します。
いま私たちは、奈良美智の子ども時代CHILDH00Dという記憶の地図の中へ、 ほんとうに旅立とうとしているのです。
Fountain of Life(部分)
2001年
FRP、ラッカー、ウレタン、モーター、水
h.175 * diam.180cm
(C)YOSHITOMO NARA
新しい展覧会の形
この展覧会は、既成の美術館や展示用に整備された煉瓦倉庫で開催されるのではありません。古い倉庫の空間の質をそのままに、あたかも作家が空間と対話をしながら、展示が行なわれます。そして、奈良美智というアーティストに魅了された人々が力を合わせ、ボランティアによって展覧会が開催・運営されます。
奈良と彼のファンがコラボレートしたインスタレーション、通称「ハマプロ」にはじまり、日本各地で多くの観客が詰め掛け次々と美術展の常識を覆していった画期的な展覧会。そのしめくくりとして、奈良の故郷、弘前で、展覧会そのものがひとつのアートプロジェクトのように、人々が結集し、実現されようとしているのです。
それは、なにからなにまで前代未聞。これからの新しいアートと空間と、それに関わる人々との新しい形を提示することになるかもしれません。
連絡先 「奈良美智展 弘前」実行委員会 事務局
電話0172-31-0195 FAX0172-31-0196