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-CONCEPT- OLD記事

6回ダンボ・オープンスタジオ 2002

Open Studios 2002:d.u.m.b.o. art under the bridge festival)

10/18-20、2002

ダンボ最寄りの地下鉄駅、York Streetの入り口からダンボを望む。

Photo© S. Yoshida

マンハッタン橋の下のインスタレーション

Photo© S. Yoshida

ストリートパフォーマンス”Electric Hair Cut" by Nelson

Photo© S. Yoshida

                        マンハッタンからイーストリバーを渡ってすぐ、ブルックリン橋とマンハッタン橋のたもとに、ダンボと呼ばれる一角がある。ウィリアムズバーグが第二のソーホーであるなら、ダンボはさながら第三のソーホーと呼べるくらい近年急速にファッショナブルな地域に変わりつつある。10月から11月にかけてNYでは、アーティスト達がそれぞれのスタジオで作品を公開する、オープンスタジオが行われるが、ダンボでも”橋下のアートフェスティバル”が開催され、そこでスタジオを構える数百人のアーティストが自分達の作品を一勢に公開した。世界各国から様々な人々が集まるNYで、ダンボのスタジオもこれにもれない。日本からのアーティストも少なくなく、今回は、オープンスタジオに参加した三人の日本人アーテイストを紹介したい。

                        彫刻家の下次正一氏は、Jay ストリートのビルディング5階にスタジオを構える。彼の初期の作品は彫刻でありながら平面性が強く、平たい鉄の面を幾何学的に構築したものだった。しかしここ数年、量感をたたえた丸味のある形に変わってきている。窓がなかった以前のスタジオから、ダンボに移り、窓に面したスタジオで制作するようになった下次氏。すると空間が見えるようになったという。同じ頃、旅先のイタリアでブルネレスキのクーポラ(円蓋)と出会い、また、日頃スタジオまでの道すがら倉庫等の搬送口の角にあるbollard(丸い緩衝器)を目にし、新しい形体が着想された。”面が丸みを持つことで、より陰影を多く生み、触角的、あるいは内蝕角的感覚を持つようになり、私自身に生命的なものに心を開くようにさせた。”とは、下次氏自身の言葉だ。

下次正一氏のスタジオ風景

Photo© S. Yoshida

下次正一氏のスタジオ風景

Photo© S. Yoshida

下次正一:Knobsシリーズから。

Photo© S. Yoshida

近年は素材を鉄から石に移すが、触角的な物への関心は続く。例えばそれは”Knobs ”シリーズにも現れる。何か作品に触れたくなるような感覚を見る側にもおこす。”人の体を包み込むような空間をつくり出せるのが彫刻と絵画との違いでもある”という下次氏の最近作のコンセプトは、”大きくしたら抱きつきたくなるような作品”だそうだ。屋外での展示が考慮されている。スタジオで見せたやや小ぶりな作品群は、完成作品でありながら習作でもあり、今後広い屋外でのデビューを待っているかのようだ。

最近作と下次正一氏

Photo© S. Yoshida

                        文化庁の研修員としてNYに滞在中の西成田洋子氏は、”記憶の領域”というテーマで作品を展開する。暗いアンバーな色彩、非常に有機的な形体。何からつくられているのだろうと近付いてみると、ねじ曲げられたヒールシューズがあった。女性的な要素が確かにある。日常的な廃材による過去の集積であるという。けれどもそこにはメランコリックな回顧だけが存在するのではない。”過去があるから未来がある”という彼女の作品は、未来ヘの”領域”も暗示するようだ。

西成田洋子:”記憶の領域”から

Photo© S. Yoshida

西成田洋子氏のスタジオにて

Photo© S. Yoshida

                        安部典子氏は、"Linear-Actions(線的な行為)”というテーマのもと作品を展開する。その行為は、ドローイングであったり、カッティングであったり。スタジオでも双方の作品が展示された。緻密な、まるで等高線のようなドローイングと、美術書や地図を抉る様にカッティングした作品。自然のモチーフをもとにその細部にこだわったドローイングが以前の作品だというが、地質学的な表現でもある今回の作品とは、小さなコスモロジー(宇宙論)ヘの関心という点でつながるのではないだろうか。

 

                        西成田氏と安部氏は今回同じスタジオを共有しての展示だった。全くことなるテーマであり、異なる素材を扱う両者であるが、なぜか二人共通項があるような気がした。積み重ねる行為としてみたとき、前者がプラスの行為、後者がマイナスの(削る)行為の様に見えたからだ。お互いの作品を知るのは今回初めてというが、二人が偶然ダンボで作品を公開できた事も興味深い。他のスタジオのアーティストからも日本人の彼女達の作品を見たかと聞かれ、注目されていたようだ。

安部典子:”Linear-Actions Cutting Project"より

Photo© S. Yoshida

安部典子氏のインスタレーション風景。(奥は西成田洋子氏のインスタレーション。)

Photo© S. Yoshida

                        この他、気になるアーティストとしては、ビデオのマシュー・ボリセビック氏(Mathieu Borysevicz)と、ユーモラスなインスタレーションのロバート・ビショフ氏(Robert Bischoff)をあげたい。彼等もともに一つのスタジオを共有している。全く異なるタイプの作品でありながらお互いの作品が違和感なく鑑賞できた。殊にマシューはニュース等のメディアを扱う作品を展開し、公的なプロジェクトにも関心がある。彼は、プライベートな場所ではなく、他者との交わりがもてる現在のような空間で作品を生み出すアーティストかもしれない。

Mathieu Borysevicz氏のインスタレーション

Photo© S. Yoshida

Robert Bischoff氏のインスタレーション

Photo© S. Yoshida

                        今年で6回目をむかえるダンボ・オープンスタジオは、年々規模を大きくし、路上ではコンサートやパフォーマンスが行われる他、あちこちに露店も登場し、文字どおりフェスティバルという要素が強まる感がある。けれどもスタジオに足を運び、そこで待機するアーティスト達との出会いは、また別の趣がある。作品についてのコメントをもとめると、それぞれのアートについて真剣に語る。外からもれる賑やかなBGMとは別の空間が存在する様で、印象的だった。

                       

Yoko Yamazaki

 

 

 

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