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-CONCEPT- OLD記事

Beta Launch展

10/16-12/1, 2002

水~日(12:00~6:00 pm)


Eyebeam:

540 West 21st Street New York, NY

www.eyebeam.org

 

Beta Launch展 会場風景

Photo© S. Yoshida

 

Beta Launch展 会場風景

Photo© S. Yoshida

                        Beta Launch : Artists in residence '02 は、アイビーム(Eyebeam:メディアアートの非営利団体が組織するプログラム)に参加する、ニューテクノロージーとデジタルツールを用いる11作家(コラボレーション、グループを含む)によって構成される。作品は、Emerging Fields, Moving image, Education の3つに分類されている。この展覧会、レジデンスプログラムがスタートして、初めてのグループ展となり、出品作品の全てが今年(2002年)の制作となっている。

 

                        コンピュータの普及はオフィスや家庭環境だけではなく、アーティストの制作をも変えつつある。この展覧会はそうした傾向を示している。オープニングの会場には若者の姿が目立った。

Jem Cohen, Chain, 2002より

©Jem Cohen

                        ジェム・コーエン ( Jem Cohen ) による、ヴィデオインスタレーション、”Chain” は、3台のヴィデオプロジェクターによる3つの並列したスクリーンに、それぞれ違ったシーン(ショッピングモール、高速道路や企業のビルディング等の都市生活空間)を映し出す。6年をかけてフロリダ、ダラスからベルリン、そして、メルボルンで撮影されたものだそうだ。なによりも自然なカメラワーク、そして、短いショットの連続が心地よく、美しい光を捕らえている。作品には作家によるナレーションと音楽があり、これらが断片的ともいえるシーンをつないでいる。”Chain”には、いろんな読み方が可能かもしれないが、なによりも目が楽しめる作品である。”Chain” は今後もプロジェクトとして展開されるようだ。

Beta Launch展 会場風景

Photo© S. Yoshida

MTAA, Endnode(aka, Printer Tree), 2002

©MTAA

                        近年、トム・フリードマン(Tom Friedman)、ティム・ホーキンソン(Tim Hawkinson)やキャラ・ウオーカー(kara Walker)の様にハイテクの時代に手作りアートの要素を盛り込む作家が目立ってきている。あたかもプリンタが葉っぱを散らす樹木のようなMTAAの作品もこれに似て、ハイテクとローテクが一体となった感があり、手作りの素朴さを残す。

Marina Zurkow and Scott Paterson in collaboration with Julian Bleecker,

PDPal, 2002

©Marina Zurkow, Scott Paterson, Julian Bleecker

                        ニューヨークの地下鉄やバスの車内で、PDA (Personal Digital Assistant), いわゆる電子手帳、を使う人たちを目にする。パルム(Palm)は人気の高いブランドで、筆者の友人達にも愛用者が多い。スケジュール管理はもちろん、映像やその他のデータ管理、通信もできる。地下鉄の乗り換えがわからなくて、隣の乗客にきいたところ、パルムを取り出し路線図を見せられたことがある。2台のパルム を近付けて、互いのデータのやり取りをするシーンも目にする。 大手のブックストアー等にはデータを発信するボックスもある。筆者は、いまだ紙と鉛筆の手帳なので、それが何なのか、安売りの情報か何かもらえるぐらいにしか思っていなかった。このパルムを利用したのが、マリナ・ザーコウ(Marina Zurkow)、スコット・パターソン(Scott Paterson) と彼等のコラボレーター、ジュリアン・ブリーカー(Julian Bleeker)である。会場に設置されたボックスに自分のPDAをかざせば、彼等の作品が入手できる。それは、物としてではなく、情報としてのみ存在する。彼等の作品は、ポータブルで、複製や交換がいとも簡単なメディアアートの一面を示す。

                        携帯電話の爆発的な普及は、他者と何かを共有したい、つながりを持ちたいという単純な理由からかもしれない。また、デジタルビデオカメラの普及は、子供の映像を身近にしかもコンパクトにつなぎ止めておきたいという親達がいるからかもしれない。テクノロジーは私たちの生活と確かに結びついている。それではアートはテクノロジーとどのように結びついていくのか。この意味でアイビームは、一つの実験的な展開を提示しているようにも思う。

                    

Beta Launch展 会場風景

Photo© S. Yoshida

                        その他の出品作家はCory Arcangel, Michael Bell-Smith, Torsten Zenas Burns & Darrin Martin, Alex Galloway, G.H. Hovagimyan & Peter Sinclair, Yael Kanarek with Bnode, John Klima, Tony Martin。会期中には、レジデンス作家によるパブリックプログラム、ワークショップも予定されている。

 

S. Yoshida


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