• N
  • TCg^c
  • vCoV[|V[
  • [
-CONCEPT- OLD記事

篠原有司男

「芸術の力が世界を変える」

 

ビームス新宿店の正面にて

 

 ギュウちゃんの東京での個展 「芸術の力が世界を変える」 が開催されている。 会場となるビームス新宿店では全館が篠原アート一色となっていた。 全館を使用し作品展示しているという意味では、グッゲンハイム美術館(現在マスュ―・バーニー展を開催している、ニューヨークタイムスで絶賛された)と同じである。

 ビームスの正面ディスプレーガラス全面にギュウちゃんのボクシングペインティングの写真ポスターを貼ってあるが、その大きさに圧倒される。  ニューヨークの美術館でもこれほどの巨大ポスターを使用しての展覧会は観たことがない。  館内に入ると左右奥に2つの階段があり、両方の階段にショーディスプレーがあり作品の展示スペースとなっている。 正面左奥の階段ディスプレーには、ギュウちゃんの現在の作品テーマであるインカシリーズの作品が並ぶ。

隼を頭にのせたアンデスの少女

(モデルはアンデスで実際に頭の上に鳥を乗せていたという少女。

隼の鼻はロブスターの殻を使用している。)

1~2階・階段展示作品

蟹・蜘蛛・首切り人

(古代アンデスの死刑執行人は蜘蛛だったと言い伝えがあるが、

作品に本物の蟹の殻を使い、蜘蛛の胴を持つ死刑執行人)

2~3階・階段展示作品

ミイラ ドライバー

(ミイラバイクシリーズ。アンデスの太陽が輝く山道をミイラドライバーが駆け上がる。)

3~4階・階段展示作品

クスコ平野

(富士山のようなクスコ平野にそびえるアンデス山脈と、

その麓で生活する人々。右下にはドクロの上で交尾するトンボ)

4~5階・階段展示作品

 

黄金宮殿のミイラ様

(ミイラ王に捧げ物をする少女達。右の捧げ物はクイという食用動物)

5~6階・階段展示作品

 展示作品はアンデスの青い空に包まれた自然を背景に、古代インカ帝国の黄金・ミイラ・髑髏(ドクロ)・土器・織物や文字を持たなかったインカ文化をシノハラ流曲解により制作されているので、古代インカ帝国当時の霊感が伝わってくるようだ。  

 階段を上りきり奥に進むと展示会場となる、B GALLERYの正面ガラスディスプレーに今回のタイトルである

「芸術の力が世界を変える  篠原有司男」

とギュウちゃん自筆で大きく描かれている。

 

 ギャラリーに入ってまず驚くのは、今回のメイン彫刻であるギュウちゃんの立像。 これはボクシングペインティングを終え、興奮しているギュウちゃんをインカのイメージにアレンジされている。 ドクロの顔に金箔の仮面をつけた表情は迫力満点。

 

 

会場内左奥には、今回のテーマであるインカと反戦をダブらせた作品 「毒ガス首切り人」が展示されている

毒ガス首切り人

 この作品左上に大きく描かれた死刑執行人が、吐いた紫の毒ガスが逃げ惑う人々にかかかり、瞬時に骸骨となって行く瞬間を描いている。 イラク戦争直前に描き始めた作品だが、化学兵器による殺戮の悲惨さとインカ帝国とをダブらせている。

 

髑髏とトンボ

 

 「毒ガス首切り人」の左に、彫刻 「髑髏とトンボ」 が展示されているが、この作品はクスコ平野に野ざらしにされている 髑髏(ドクロ)に2匹のトンボが止まり交尾を始めるという、古代インカ帝国から続く生と死 (屍骸の上に生殖がある) を表現している作品。 髑髏の顔にはロブスターの屍骸(殻)を貼り付けている。 会場内には他にも同様にインカをイメージした彫刻(小品)が数点展示されている。

 

 

 ギャラリーを後にして別の階段ディスプレーには、ここ1年間ギュウちゃんを撮りつづけた写真家 井出康郎の「篠原有司男 写真展」 に続く。  ギュウちゃん本来の持つ、スピード・躍動感、また「汚さ」をよく表現している。 彼の傑作の一つである作品に、ボクシングペインティングを終え、股の下から自分の作品を覗く写真があるが、そのギュウちゃんの姿は「人間」でないほかの生き物のようだ。  篠原流アート作品がないこのスペースでは、写真を通しアーティスト「篠原」という人間が理解できるような空間となっている。

 

 篠原アートに引き込まれ館内の作品全て見終わった後は、現在世界の不安定要素となる戦争や経済問題など全てを忘れてしまっている。 観た人間の頭の中では篠原が提案する芸術の力が世界を変えていることに気づく。 

 1960年代反芸術を掲げネオダダに所属し日本アート界で暴れ、70年代にはアートの本場ニューヨークアート界でのた打ち回るなど、常に自己のアートスタイルを変えなければならなかったギュウちゃん。 今年71歳になるギュウちゃんが今回の個展を通して画家としての絶頂期を迎えていることが筆者にわかる。 今後も変化し続けるシノハラアートは絶頂期を今後何年・何十年持続させるのか。 また、さらなる奥に頂点があるのか、あるとすればどの時点なのだろうか。 

 そのギュウちゃんが5月2日~5月6日まで会場にいる。 絶頂期の画家に会うチャンスはあまりないと思う。 気さくなギュウちゃんはファンサービス満点なので、ギュウちゃんファンにはこの機会に是非ギュウちゃんと話をしていただきたい。

 

矢崎

 

 

Copyright (C) 1999-2010 New-York-Art.com All rights reserved.